【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】
第1章 始動。
「コイツは酷いな、…しばらくは、外出はダメだな」
「大丈夫だよ、する気もないから…っ!!」
医者の見習い、という彼。
ついさっき、傷を見せろ、と言うので服を脱ごうとすると、全力で止められた。
此処で脱ぐなッ、と怒られて、別室で脱いでタオルを巻いて、ソファの上で、現在診察中。
初めて、人の頬があんなに真っ赤になったのを見た…。
「…普通、男の前では脱がねェんだよ、バカ…!!」
「…そうなの…、」
(外の世界で生活したことないから、…分からない…)
傷の手当をする、優しい手。
彼は、今までにない真剣な眼差しで、傷の手当をしていく。
そんな彼を見ながら、神妙な面持ちで、これからどうしよう、と考え混んだ。
まず、常識がない、ということが一番の問題だよなぁ…。
そんな私を見て、彼は、クック…、と喉で笑う。
「大丈夫だ、ある程度の常識くらい、教える」
「……ぁ、ありがとう!」
「あァ…礼なんかい…、…あァ…?」
大人びたような、低い声。
彼の左目の下が、ピクッ、と痙攣したように動く。
どうやら、右の脇腹を見て、動きが止まったらしい。
思い当たる節がある私は、そっと、毛布で顔を隠した。
が、すごく機嫌の悪い顔で剥がされる。
「これは、何だ…?」
「……ぇ、っと…」
「見たことねェ痣だ…、正直に答えろ、シェリル」
黒ずんでいる脇腹を、指差して。
うっすら血管が浮き上がっており、一言で言えば、異様。
手術用の手袋で触れ、その不気味な痣をなぞる。
すると、脈打つように収縮を繰り返し、黒ずみが広がった。
ビキ、ビキ…、と、血管が、切れそうなくらい浮き上がっていく。
「い゛、ぁ゛……っ!!!」
「…………ッ、」
指を痣から、スッ、と離す。
さっきまで広がっていた黒ずみが、徐々に元に戻っていった。
彼の額から、うっすら汗が出て、緊張感が…、緊迫した空気が流れる。
肩で息をしている、涙目の私を、彼は申し訳なさそうに見た。
「シェリル、すまなかっ───」
「これは、天竜人にされたの」