【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】
第1章 始動。
「Room…、」
「……ひっ、いや──」
ザクッ、という音。
物音すらしない部屋の中で、私の体が切られた音が響いた、ハッキリと。
なのに、痛くない、死んでもいない。
ゆっくりと目を開けると、床には、確かに私の上半身が落ちている。
下半身は、ソファの上にあった。
「……え…、何これ?」
「普通の人間じゃないのは、俺も一緒だ」
「……能力者…」
オペオペの実の能力者だ。
上半身だけになった私を持ち上げ、ソファにある下半身とくっつける。
切り傷なんてなくて、真っ二つに切られていたのが嘘のよう。
口が半開きになった状態で彼を見ていると、小さく、ククッ、と笑った声が響いた。
喉の奥で笑っているような、感じ。
「凄いっ…!! えっと……、」
「ロー、トラファルガー・ローだ」
「ロー…ね、うん…!!」
一人で名前を呟き、納得する。
口元に片手を当て、もう片方の手を腹に当てて、彼は下を向いて笑っている。
笑いを抑えるかのようにして。
何が可笑しいのかは分からない。
けれど、その様子を見ていて、私も笑った。
「…よろしく、ロー!!」
「ああ、よろしく、…シェリル」
持っていたふわふわの毛布を私にかぶせて、彼は薄く微笑んで言った。