【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】
第2章 別離。
シェリルside
* * * *
「い゛────ッ、」
黙ってろ、バラすぞ。
気絶しそうなほどの手の痛みに、声を上げる直前で、口を塞がれる。
大好きだった、優しいローの手。
その手が今、私の手を刺し、口を塞いでいる。
私を、傷つける。
「う゛ぅ゛ッ、ん゛う゛……、!!!」
「力抜かねぇと、苦しいぞ、……シェリル」
耳元で優しく囁いて。
彼が、口から手を離した瞬間、若干、酸欠状態だった私は息を小さく吸い込んだ。
だが、すぐに口を塞がれる。
熱くて、ぬるっとした、何かが口の中に入ってくる。
「……んっ、ぁ、んぅ……っ、!!」
「はぁ、……ん、…もっと口開けろ……、」
水のような音が響く。
口内をかき回しているのが、彼の舌だと分かり、暴れる。
口を閉じようと、顔を横に向けようとした。
けれど、手のひらに刺さっている剣をグッ、と床に深く突き刺してくる。
余計な真似はするな、と言ったような風で。
(痛い゛…、痛い゛っ、!!!)
狂ってしまいそうな、痛み。
奴隷にされていた頃の、あの恐怖と、寒気が、背中を突き抜ける。
目の前にいるのは…、ローではない。
愛しい彼の姿をした、皮を被った、悪魔だ。
そう言い聞かせ、私の中にいる、「優しいロー」を守った。
(ローが、こんなことするはずない──、ッ!!)
ねっとりと、絡まる舌。
いつしか、服は剥ぎとられ、下着もとられていた。
私は恥ずかしさに顔を横へ向けたけれど、すぐに戻される。
両手の平には、深く突き刺さった剣…、出血は止まりかけている。