【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】
第1章 始動。
シェリルside
* * * *
「おい、お前、名前は?」
「…シェリル・ウェルスト、」
シェリル……、か。
思いのほか、彼は一瞬で穏やかな表情になった。
そして、優しく私の頭を撫でて、また質問をする。
「年は、俺より上だよな?」
「…じゅ、15…、だと思う…」
「俺は10歳だから、5才上か」
「あ、でも、すぐに私より年上になると思う…よ」
首を傾げ、私を見つめる目。
私は、普通の人と過ごす時間とズレが生じていることを説明した。
自分が、ウェルストという、2年に1歳年をとるような、特異な血族だということ。
また、そんな特異な血族だったために、天竜人に捕まってしまったことも…。
「……そうか、そういう事情か」
「だ、だから、体調が良くなったらすぐに出て行くから、安心し───」
「いや、出て行かなくて良い、」
むしろ、此処にいろ。
穏やかな表情から、一変して、真剣な眼差しに変わる。
ソファから立ち上がり、別室に入っていった。
部屋から戻ってきた彼の手には、ふわふわの毛布と、真新しい刀。
「………ぇ、ちょ、待って、…え?」
「気を楽にしろ」
「いやいやいやいや…!! おかしい、オカシイっ!!」
鞘から刀を、慣れた手つきで。
引き抜き、私に切っ先を向ける。
たった今…ついさっき、此処にいろ、と言っておいて、殺す気なの?
どうして…、やっぱりこの子も……私を傷つけるの!!?