【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】
第2章 別離。
ローside
* * * *
殺意と恐怖を、宿した。
シェリルの真っ赤に染まった瞳。
元の、綺麗な青色の瞳に戻ったのを確認し、胸を撫で下ろす。
一体どんな…、なんの夢を見たのか、聞こうとしたが、やめた。
ようやく落ち着いた彼女を、再び、興奮させる訳にはいかない…。
「シェリル、おなか空いてないか…、?」
「…うん、なんか食べたいっ!」
夕飯は、俺が作っといた。
先に、ご飯を食べ終えてしまった俺は、彼女が美味しそうに食べる姿を眺めた。
時々、不審な顔をして、見てくるシェリル。
けれど、くす…、と微笑めば、ぱぁ…っ、と彼女は笑顔になった。
(…最後なんだ、今日で……、)
お前と、一緒に過ごすのは。
言おうとして、言葉が喉に突っかかって、口を閉じた。
何も知らないシェリルは、ただ、俺に笑顔を向けている。
彼女にとってこの「告白」は、残酷なものになる、と、心が痛んだ。
(…言うんだ、コイツが傷つくとしても…っ、)
「なぁ、シェリル…」
「…ロー、?」
「お前に、言わなくちゃいけないことがあるんだ、」
鉛のように重い口を、開く。
時間が、止まったようだった…。
シェリルの瞳孔が、ぐっ、と大きく開き、俺を凝視する。
口を少し開き、持っていたスプーンが、床に落ちた。
青色の瞳から、綺麗な雫が、ぽろ…、ぽろ…、と流れ、頬を伝い、落ちる…。
「…な、…んで……っ、?」
「…………、」
「なんで、…どうしてっ、そんなこと言うの、っ!!?」
椅子が、ガタンッ、と倒れた。
怒りと言うよりは、悲しみが、表情から溢れていた。
ふと…、彼女の影に目をやると、「ありえない」ほどに荒々しく揺れている。
心のどこかで、まずい…、と、頭の中で呟いた自分がいた。
「なんで…っ、どうして……ッ、!!」
「シェリル────────っ、」
どうして、そんな事言うの……ッ、!!?
『明日の昼、島を出る、』
『あの男の…、ドンキホーテ海賊団に入るんだ』
『許して欲しい』
『必ず…、必ず、お前の元に帰ってくる…、───────だから、』
―俺の帰りを、待っててくれ…、―