【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】
第1章 始動。
彼の家に入り、ソファに横にされる。
ハッキリしてきた意識。
よく見てみると、彼は私より少し背の小さい、男の子だった。
私は今15歳くらいだから、……10歳くらいだろうか…。
「具合は…?」
「……だ…大丈───」
「嘘を吐くな。…震えてるし、顔色も良くない…」
目つきの悪い、子供だった。
その上睨まれ、うっ、と怖じ気づいてしまう。
私より年下の子供のくせに、威圧感が半端なく伝わってくる。
幼い頃から檻の中で生活していたため、接し方がまったく分からない…。
ビクビクしたまま、私は彼を、見つめる。
「…どこから来た?」
「──────っ、」
ガタガタ、と、震えは増す。
その様子を見て、彼は、無表情のまま瞳を見開いた。
けれど、すぐに同じ表情に戻り、私が横になっているソファに腰かける。
私に伸びてくる手が、天竜人のあの、暴力を振るってくる手と重なった。
「────ヒッ、」
「大丈夫だ、殴ったりしない。安心しろ…」
そっと、優しく囁かれた。
反射で、目をつぶった私の頬を、彼の両手が挟む。
恐る恐る目を開け、今にも泣き出してしまいそうな顔で彼を見た。
うっすら笑みを浮かべ、優しく私を見つめている彼がいる。
「……もう、大丈夫だ、」
「…ぅ、あ…」
「何があっても、俺が守ってやる」
小さな子供の慰め。
それが、叶わない約束だったとしても、単なる気休めだったとしても…。
私は上半身を起こし、縋るように、彼の胸元に抱きついた。
そして、今までため込んでいた辛さを、涙と一緒に流し、吐き出した。
─幼い男の子に、泣いて縋った─