【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】
第1章 始動。
シェリルside
* * * *
―簡単なあらすじ―
幼い頃、私は病に『かけられた』。
天竜人に実験体にされて。
治療薬のない、身体を蝕んでいく病。
寒い檻の中で、死の恐怖と苦しみが恐怖だった。
ある日、無理やり食べさせられた『実』。
それが影を操ることができる、『悪魔の実』だった。
無意識に指を鳴らすと、影が、ユラユラと揺れ、一人の天竜人を手にかけた。
『────あはは…、』
初めて浴びた血に、恍惚した。
そんな自分が恐ろしくて、自分のしたことが怖くて。
影に沈んで、影と影の中をを行き来して、逃げ出した。
(こわい、こわい、こわい……っ!!)
疲れ果てて、影から這い出た先には、平穏の街。
震える身体で懸命に歩き、街中を見渡す。
瞬間、ガクンっ、と足から力が抜け、地面に倒れこむ…。
そのギリギリの所で、上半身を支えてくれた子。
『大丈夫か…、俺の家そこだけど、歩けるか…??』
それが、トラファルガー・ローだった。