第1章 デートの後で…
「お疲れ!!頑張ったな、!」
鎌先くんの態度はずっと変わることが無かった。
ボールに触れることすらできないでいた、練習の時も。
緊張して動けないでミスを連発していた、試合の時も。
それがどんなに私の心を支えてくれたか、鎌先くんは知っているのかな。あの大きな声援が、どれだけ私の背中を押してくれたのか、気付いているかな。
「鎌先くんのおかげだよ。本当に、ありがとう」
「んなことねぇよ! お前が頑張ったからだろ」
からりとした笑顔で、鎌先くんが言葉を返してきた。
彼の言葉に他意の無いことは、その笑顔を見ればよく分かる。
―そんな真っ直ぐなところも、大好きだよ、鎌先くん。
口に出すには勇気が無くて、心の中で強く思うだけだった。
いつかこの気持ちを、鎌先くんに伝えることが出来たら……
そんなことを思いながら、私はそれからの日々を過ごすことになった。
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「……という訳です」
の回想を聞き終えた鎌先の顔は、真っ赤だった。
回想が進むにつれて、鎌先の顔の赤みはどんどんと増していった。
が鎌先のどんな所に惹かれたのか詳細に語ってくれたことも、もちろん顔の赤みを増す原因にもなった。
が、それ以上に過去の自分の言動を思い出した恥ずかしさから、鎌先は顔を赤らめていた。
「お、俺、そんなだった? 思い出したらめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど」
に好意を寄せていたからこそ、彼女の全てを受け入れていたし、バレーの練習にだって付き合った。下心が無ければ、の練習に付き合うことは無かっただろう。
それなのにが純粋な瞳でその時の練習の事を語るので、鎌先は恥ずかしくて仕方なかった。
―が思うほど、いい人間じゃない。
鎌先の胸中には、そんな思いが渦巻いていた。
「……その頃は、俺、お前の事好きだったから。下心満載で練習付き合ってたんだぜ」
「そうだったの? ……そっかぁ、その時から両想いだったんだね。嬉しいなぁ」
嬉しい。そう口にしたの顔を、鎌先はまじまじと見つめた。邪な思いを抱いていた、と告白したつもりだったのに、嬉しい、と言われるとは。
どこまでも優しく純粋なに、鎌先はまた彼女への気持ちを募らせた。