第4章 第4セット。
二人の先輩にお灸をすえられた虎は大人しく静かに、というよりションボリしながら俯いている。
その隣に座る福ちゃんと目が合って、困ったような表情をしているから私も苦笑してしまう。
「たくっ、山本は」
呆れたように腕を組んで溜め息をしている夜久先輩に「まぁまぁそんな怒んなよ」なんてクロ先輩がなだめている。
「あ、そろそろ着きますよ」
車内に流れるアナウンスでもうすぐ着くことを知らされると各々荷物をまとめたり忘れ物がないように確認する。
新幹線を降りて、乗り換えをして合宿中の本拠地 ” 烏野総合運動公園 ” に向かう。
球技場に荷物を置いていざ、最初の練習試合をする高校に出発する。
パタパタと移動することが多くて忘れ物ないか不安だったけど走くんや芝山くんが手伝ってくれるから本当に助かる。
そして、今日の練習相手は槻木澤高校
第一体育館に来たのはいいのだが、
「研磨が居ない・・・」
「あいつどこ行ったんだ?」
虎と夜久先輩がキョロキョロしてる
え? 歩いてたよね?
皆んなで歩いて居たよね?
「俺、探しに行ってくる」
「私も行きます!」
クロ先輩と私で辺りを探しに行く。