第3章 第3セット。
「うぇッ、ちょ、ここ外だよー」
抱きしめられてる状況で辺りを見回す。なんかたくさんの視線が突き刺さるよ福ちゃん。恥ずかしいから彼の胸板を叩くけど動こうとしない。
「・・・・福ちゃーん?」
諦めてそのまま彼の腕の中に居ること数分。俯いてる顔を覗き込んでみると目が合う、フッと口角を上げる福ちゃん。
「え?」
そんな顔、見たことないからゾクッと背筋に何かが走る。
「福ちゃん・・・?」
もう一度声をかけると、いつも通り無表情な彼に戻り先ほどのように指を絡めて歩みを進める。
さっきまで隣を歩いていたのに少し先を歩く福ちゃんの顔が見えない。指はちゃんと絡んでて近くに感じるのに、
福ちゃんがコワイなんて、
モヤモヤした状態のまま私のマンションに着いてしまった。