第3章 第3セット。
「福ちゃん! 帰ろー!」
明日のために合宿メンバーは先に解散して各々帰宅している。着替え終わった私は既に制服に着替えた福ちゃんの背中に飛びつく。
「・・・・・・」
後ろから顔を覗き込むと真っ赤な顔をしてる。とっても可愛い。本当に好き。
「今日泊まって行くんだよね?」
「・・・・(コクンッ)」
駅から私の住んでるマンションの方が近いから泊まってもらうことに一昨日決まった。合宿当日の朝お迎え来てもらう方が遠回りだからってことで、
彼の隣を歩きながら思わず笑みがこぼれる。
お泊まりは子猫ちゃんたちが来た日以来だから二度目だなぁ、とか。
福ちゃんに告白されたのも家だなぁ、とか。
「福ちゃん、」
ソッと彼と小指に自分の人差し指を絡める。手を繋ぐなんてお互い恥ずかしくてできないから、今はこんな風に指を絡める。
ちょっとだけ福ちゃんの体温を感じて愛おしくてしょうがないなんて、思ってる私は福ちゃんが居ないとダメだと自覚する。
「好きだよ」
彼を見上げながら聞こえるように呟くと私と視線を絡ませて微笑む彼がギューッと抱きしめてくれる。