第3章 第3セット。
合宿前日、なんとかマネージャーという仕事を覚えてみたがもう少し無駄がないように仕事をしたいものだ。
「ふぅー・・・」
「どーしたんスか。タマ先輩」
練習終わりのモップがけの途中灰羽くんがモップをかけながら私の隣に来る。
「明日から不安だわ」
「いいじゃないスか!? 俺なんて行けないんスよ!」
ベンチメンバーではない灰羽くんはプーッと頰を膨らませている。可愛い坊やみたいだ。
「今は、まだなんじゃない」
「俺は音駒の「タマ! モップがけはリエーフに任せてこっちに来いよ!」
灰羽くんの言葉を遮るように夜久先輩が呼ぶから自分のモップを隣の彼に渡して夜久先輩や合宿メンバーの元へ駆け寄る。
「何ですか?」
明日の日程などは先日に教えてもらったし、持っていくものも大体詰めたから大丈夫だと思うのだが。
「これ、渡しとかねぇとなって」
クロ先輩にポンッと渡されたのは赤いジャージ。
福ちゃんやみんなと同じ音駒と書かれてる物。
「え、でもッ・・・」
遠征合宿だけのマネージャーなんですよ、と言おうとしたら頭をワシャワシャと撫でられた。痛いですよクロ先輩。
「明日からよろしくなっ!」
ニッと笑うクロ先輩、周りを見れば「よろしく」と笑ってくれるメンバー。私も思わず嬉しくなって笑顔になる。
「よろしくお願いしますッ!」