第2章 第2セット。
「なんでですか!?」
食いつくように質問する後輩くん。そんな彼から逃げるように夜久先輩の後ろに隠れる。
「先輩! 灰羽くんしつこい!」
「リエーフ。いい加減ネット片付けろ! 終わらねぇじゃねーか!?」
既に支柱やネットを巻くハンドル、ボール等全て片付け終わってて残るは灰羽くんが持ってるネットのみ。
「だって女の子いるから期待しちゃうじゃないですか!」
「やんねーって言ってんだろ」
夜久先輩の言葉にぷーっと頬を膨らませてネットを体育倉庫に片付けに行く灰羽くん。走る一歩が大きくて、すごい子が入部したなって改めて思った。
「あ、福ちゃん!」
人数の多いバレー部員から福ちゃんを見つけて駆け寄る。キョトンとした彼が首をかしげる。
「忘れ物! ソファの下にあったよー」
「・・・・(コクンッ)」
子猫と遊ぶのにネクタイを外してたから
そのままソファの下の奥の方に持ってかれちゃったんだろうなーってなんとなく察した。
「へぇ〜。ふぅーん。」
超ニヤニヤしてる奴がこちらを見ている。
「本当に昨日の夜なんも「ないですよ。」
福ちゃんとの和んだ空気をぶち壊すクロ先輩の言葉を遮って喋る。一番見られなくない所を見られて溜め息が出る。
絶対絡んでくるから、黙ってたのに。