第2章 第2セット。
そんな仏顔の先輩と遠目の私が見つめ合っていると海先輩の後ろをピョンピョン飛ぶワンコのような男の子が視界に映り込む。
「あの子だれですかー?」
ワンコくんの一言で一斉にこちらを見る。
え、気まずい。恥ずかしい。
静かになった体育館であの大きいハーフの子が何か気がついたように言う。
「夜久さんと同じくらいの身長ッスね!!」
「・・・・・」
夜久先輩が少し俯いたあと、彼のケツに華麗な回し蹴りをする。あぁ、今のは君が悪い。とこの場にいる人全員がそんな顔をしている。
「えっと、練習のお邪魔してすみません。 猫又監督いますか? 子猫を預けに来たのですが」
「監督はまだ来てねぇよ。朝言ったじゃねぇか」
「朝練が何時に終わるかなんて知らなくて・・・」
「あ? 言ってなかったか?」
「言ってないですよ。クロ先輩」
主将のクロ先輩が近づいてきて段ボールの中の子猫と私をみて「じゃあ、ここで待ってろよ」なんて言うから遠慮なく待たせてもらう。
体育館のステージに上がって寝ている子猫を見ながら練習している彼らの試合を見る。やっぱり福ちゃん上手だなって思いながら彼を目で追う。
カバンから彼のネクタイを出して終わったらすぐ渡さないとなって考えていると、今朝のことを思い出して頬が熱くなる。
福ちゃんの「好き」って言葉が頭から離れなくて一人で悶々とする。