第2章 第2セット。
「ハァッ、はぁー・・・・」
呼吸が痛い。帰宅部が走ったらダメだ。空気を肺に送り込むけど苦しい。校門に着いた私はゆっくり息を整えながら体育館の方へ向かう。
「ニャーッ! ニャー」
ガタガタと段ボールの中で暴れる子猫たち。
片手で段ボールを支えもう片方の手で子猫の頭を撫でてやると静かにゴロゴロと甘える。可愛いなぁって和んでいると体育館から怒号が聞こえた。
「リエーフゥゥウウウ!!!」
夜久先輩の声。パイセン、子猫たちビクビクしちゃってるよ。誰だあんな温厚な先輩怒らせるのは。
体育館のドアが開きっぱなしだからチラッと中を覗く。
何だあのデカイの。あ、失礼噛みました。
と、クラスの一部男子がハマってる某アニメキャラクターの真似をしてみる。
「だってブロックでドシャッとしてるじゃないですか!? なんで怒るんですか!?」
「取りづれぇんだよ!!」
見事な回し蹴りを食らわせる先輩。
えー、夜久先輩の初対面の印象と全然ちがーう。
もっと天使だったよ。この世に男の天使は夜久先輩のためにあるんだと思ってたのに。なんだアレ。
遠い目をしている私に気づいた海先輩。
何かを悟ったかのように仏顔で見つめてくるから、これが音駒の正常運転かと今度は私が悟った。