第2章 第2セット。
私が玄関で悶々としてると私のスマホが鳴った。
「あ、クロ先輩忘れてた!!」
脳内から消えてた意地悪な先輩を思い出しソファに置きっ放しのスマホを手に取る。
『監督が預かっといてくれとよ!』
『朝練終わる頃に学校連れて来いって』
やったな! みたいな生意気な猫スタンプも送ってきてクロ先輩だなーって思う。
『ありがとうございます』
「ニャーッ、!」
そう返信するとお腹を空かせた子猫たちの大合唱が始まった。私は急いでミルクをレンジで温めてその間に食器を洗う。
「ほらほら、待ってて〜」
人肌より暖かいミルクを子猫たちに持っていくとソファの下から出てきた。スポイトで少しずつミルクをあげるとまたソファの下に潜っていった。
そんなにそこが気に入ったのかー!
と思って中を覗くと赤い紐みたいなもので遊んでる。ソファの奥の方から引っ張り出して確認する。
「福ちゃんのネクタイ!!!」
慌てて子猫を通販で溜まってた段ボールに入れて、制服に着替え準備をする。せめて練習終わってからすぐ渡せるようにしとかないと!!
急いで玄関の鍵を閉めて段ボールを持ったまま走る女子高校生なんて、なりたくなかった。と心の中でぼやく。