第1章 第1セット。
「きょ、今日の朝ごめんね、研磨くん目立ちたくないのに私とクロ先輩のせいで・・・・」
「別に・・・・」
校門でのこと謝りたかったから丁度よかった。
目線を下に向けながらゲーム機を大事そうに持っている彼を見て教室に忘れちゃったんだろうなって察しがついた。
「これから部活? 怪我しないように気をつけてね」
「タマってさ、」
鋭い瞳が私を捉える。ぞくっとするその瞳。
何か分かっているような見透かしたような目で見つめてくる。
「すごく人に気を遣うよね。疲れない?」
「え・・・・?」
意識したことないことを言われてびっくりする。
今までそんなこと誰にも指摘されたこと無いことに困惑していると
「気にして無いならいい・・・」
また目線を下にそらしてポツリと呟く彼に疑問を抱いてしまう。
なぜ、そんなこと言うんだろうって。
しばらく二人して沈黙していると、誰かの足音が近づいてきた。
「研磨、遅ぇーぞ!!」