第1章 プロローグ
ローと合流してからしばらく歩き、カラオケやダーツ、ビリヤードなどがある複合カフェに入った。
個室カラオケの扉をひらくと、キッドとロー以外のメンバーは既に集まっていた。
「あ、遅い〜!!待ちくたびれたよ!」
金に脱色した髪をフワフワに巻いたシオンが、もう!と頰を膨らませながらキッドの腕に絡みついてきた。
他にも男女数名、その中には他校のメンバーもいる。
いわゆるローやキッドの「悪友」たちだ。
「キッド学校帰り〜!?制服じゃお酒頼めないじゃん!」
「ちゃんとパーカー持ってきてるに決まってんだろ」
そう言ってキッドは、スクールバッグから黒のパーカーを取り出して羽織った。
よく通っているから彼らが高校生というのはバレバレなのだが、ゆるいお店なので制服でなければ問題はない。
2時間も過ぎれば、すっかりみんな出来上がってしまっていた。
酒に強いキッドやローもかなり気分が良くなってきている。
「キッドォ〜」
キッドの肩に頭を乗せていたシオンがモゾモゾと動き出し、キッドの首に手を回した。
それに対しキッドもシオンの腰に手を回す。
「…今日泊まりいってもいい〜?」
猫なで声で聞かれ、キッドも「ああ」と軽い返事をした。