第1章 プロローグ
その瞬間、教室中が水を打ったように静まり返った。
「今日からここ3年C組で一緒に生活する イオリア・レイハさんだ」
コラソンが黒板にスラスラと書いていく。
「3年から新しく入って不安だと思うから、お前らくれぐれもこんな美人を怖がらせたりすることがないよーに!仲良くしろよー」
そしてコラソンから目で合図があり、レイハが口をひらいた。
「よろしくお願いします」
教室を見回すと、予想以上に派手な連中がゴロゴロいた。
なかでも1番レイハの目に留まったのは、自分とは対極的な、燃えるような赤い髪。
教室の1番後ろに座っている、大柄で目付きがとても鋭い男。
(‥‥こわい)
素直にそう思った。
背中にじんわりと汗が出て来たような気もする。
「じゃあイオリアの席はあそこな」
「あ、はい‥」
コラソンに指さされた、教室のちょうど真ん中にポッカリと空いた席に座ると、四方からたくさんの視線を感じた。
顔には出さないが、内心とても穏やかではない。
(やっぱり通信制高校にすれば良かった‥)
視線に耐えきれず下を向き、本日2回目の後悔をした。