第2章 きっかけ
走り去っていくバスを呆然としながら見つめた。
ふと後ろを振り返ると、昨日目に留まった、大柄で鮮やかな赤髪の男が立っていた。
レイハがサイフがないことに気づき2人ぶんの乗車賃を即座に出してくれたのであろうその男は、何も言わずにレイハの横を通り過ぎて行った。
「…あっ」
(どうしよう、助けてもらったのに…)
お礼を言いたいのに、声が出ない。
喉が異常なほど乾燥しその代わりに額からはイヤな汗が垂れてきた。
どうしようもできずに立ち尽くしていると、後ろからピンクのバイクに乗ったボニーがクラクションを鳴らしてきた。