第2章 きっかけ
レイハが母と住むアパートは、つなぎ高からざっと5キロほど離れた 閑静な住宅街に位置する。
毎日人でごった返す都心部とはうって変わり、下町のような場所だ。
今日も最寄りのバス停からバスに乗り学校に向かう。
各バス停では、つなぎ高の制服を着た学生たちがゾロゾロと乗ってくるが、やはり派手な学生たちばかりだ。
レイハは窓の方に視線を移し、流れていく都会の風景を見つめていた。
学校付近のバス停に着くと、学生たちはぞろぞろと降車する。
レイハはそれを待ち、最後の方に、座っていた席を立った。
(…あれ?サイフがない…)
カバンをガサガサと漁るがサイフが見当たらない。
(ウソ…どうしよう!)
サーーッと血の気が引いた。
「どうしたの?降りないなら閉めるよ」
バスの運転手が催促してくる。
「…あっ、え、と…「2人分で」
(!?)
後ろから手がスッと伸びてきて運転手に小銭を渡したかと思ったら、背中を軽くトンッと押されバスから降ろされた。