• テキストサイズ

死神に教わる甘え方。【R-18】

第2章 12月14日【あと10日】


「くっ、振られた」

死神が、冗談言ってないで早く食べてください、と私を急かす。

「いただきまーす」

「はい、どうぞ。では、そのまま話を聞いてください。あなたもお仕事があるでしょうから、昨日話そうとしたことを掻い摘んでお話します」

あー、昨日は寝ちゃったんだっけ。

卵焼きをぱくりと一口。
甘い味付け……。私の好みどんぴしゃ。

「あなたのその責任感の強い性格!そこが問題なのです。あなたは責任感が強いあまり、無理しすぎる所があります。違いますか?」

「違わない」

ほうれん草のおひたしをぱくり。
醤油の味が薄すぎず、濃すぎず。
これまた私の好みどんぴしゃ。

「だから、俺があなたのその性格を変えに来たのです」

私の性格を変えに………。

お味噌汁をごくり。
うん、好きな薄さ。

「……でも私はこの性格、案外気に入ってるの」

確かに損したことはいっぱいある。
でも、それ以上に私はこの性格が好きなんだ。

「別に私自身に溺れているわけでも、ナルシストな訳でもなくて……好きなんだ、この無駄に責任感の強い性格」

「椎名様……」

「せっかく来てくれたのにごめん。でも、私はこの性格を変えるつもりは無い。まあ、まずそんな簡単に性格って変わらないしね」

ごちそうさま、と手を合わせる。
すごく美味しかった。胃袋を掴むって言葉の意味がすごく分かった気がする。

「あ、食器洗ってから行かないと。えっと時間は……あと1時間あるから……先に洗濯を回してから」

「すみません。俺の言い方が悪かったですね」

食器をとりあえず流し台に持って行こうと持ち上げていたはずの食器の重さが手からすっとなくなった。死神に向けていた視線を手元に向ける。

「え、食器が浮いてる」
/ 58ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp