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死神に教わる甘え方。【R-18】

第2章 12月14日【あと10日】


「ふぁああ」

眠い。
でも起きないと。

あ、もうすぐで目覚まし時計が鳴る。

ピリ───ガチャッ。

「うーん……今日はちょっと止めるのが遅かったかな」

「いやいや。鳴り始めて1秒も経たずに止めるのはなかなかの神ワザかと。おはようございます、椎名様」

「ああ、おはよう。……って、いたんだ。夢じゃないんだ」

目を擦ってみるけど、やっぱり目の前にいる。相変わらず怪しい格好だ。

「え、信じてなかったんですか!」

「まあ、半信半疑」

目の前でブーブー文句を言う死神なんかより、この匂いの方が気になる。すごくいい匂い。空腹を誘う、温かないい匂いだ。

「ご飯……」

「え?あ、ああ、俺が作りました」

え、死神が?
こんないい匂いの朝ごはんを?

「何ですか。俺だってそれくらい出来ますよ」

え、心が読めるの?
ひょっとして、エスパー?

「なわけありません。俺はただの死神です」

「………読めてんじゃん」

「あなたの顔がわかりやすすぎるだけです」

そんな顔に出てたかなー。
頬を両手で揉みながら寝室を出てリビングに向かう。

「冷蔵庫にほとんど何も無かったので、簡単なものしか作れませんでしたが」

「すご……」

綺麗な黄色の卵焼き。
炊きたてほかほかな白米。
香ばしい匂いのする味噌汁。
カツオの乗ったほうれん草のおひたし。

「さあ、冷めないうちに食べてください」

しかも、皿が置かれたテーブルの上には塵一つないくらい綺麗にしてある。床も、キッチンも。全てが綺麗に片付けてある。私の家が汚かった訳ではなかったが、ここまで掃除は行き届いていなかった。

料理が出来る。
掃除が出来る。

「嫁に来る?」

「お断りします」
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