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死神に教わる甘え方。【R-18】

第2章 12月14日【あと10日】


「小さな手……」

「え?あ、ちょっ」

死神の白い手が私の手を包み込む。
ひんやりしているのに、すごく温かかった。

「こんな小さな手で全てを受け止められるわけがありません。あなたは甘えることを覚えるべきです」

「甘える……?」

私に甘えることなど出来るのだろうか。
甘えるだなんて今更恥ずかしいし、人に甘えたことなんてあっただろうか。

「そうです。今は慣れなくても、その内出来るようになります。これからは俺に甘えてください」

「あんたに?」

「ええ、そうです」

きらりと仮面の奥に光る彼の目が見えた気がした。この仮面からは何も表情なんて読み取れない。でも、何となく分かる。彼は怪しくなんかなくて、彼の善意で行動してくれてるって。

「………うん、頑張る」

死神の口の端がにいっと上に上がった。

「はい!頑張ってください!俺も頼られるように頑張りますから」

私の手を握る彼の手に力が込められる。

「うん、わかった。ありがとう。わかったから、とりあえず手を離して」

「えっ?あ、ああ!」

ぱっと手を離され、死神が私からすごい勢いで離れる。大袈裟だ。あれか。初心なのかね。U☆BU。

「ねえ。この浮かんでる食器って」

「あ、ああ、おおおっ、俺が!俺がしました!」

キョドりまくってる。
純粋すぎるのか。それとも、シャイすぎるのか。

「とりあえず、下ろして。早く洗濯を回して、食器を洗わなくちゃだか………ら?」

「あーもうっ、言ったそばから!俺がやるって言ってるでしょう!?早く出勤してください!それで朝のうちにやることやって、夜は8時までに帰宅してください!いいですね!?」

「は、はい」

なんか、この死神………変。
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