• テキストサイズ

死神に教わる甘え方。【R-18】

第5章 12月17日【あと7日】


「見える人がいるっぽいけど、どうすんの?」

普通の声で喋りかけると周りの人に不審な目で見られるから、小声で話しかける。

「そうですね……姿を変えます」

「え?姿を?」

ちょうど電車がホームに着いた。
人混みに流されるようにして電車に乗り込む。

姿を変えるってどういう意味だろうか。
いや、そのままの意味ってことは分かってるんだけど、そんなのって有り得るの?あー……でも、死神って名乗ってるくらいだしなぁ……。

「トイレに行きましょう」

私が反論する間も与えずに、抵抗する私をぐいぐい押しながら、人混みの中を分けて進んでいく。トイレだったら、一人で行くでしょ。5歳児じゃないんだから!

「ドアを開けてください」

「え?私、トイレしないんだけど」

いいから、と無理やり開けさせられ、中に入れられる。がーみんも一緒に。

「なんであんたも入ってくんの!?」

「落ち着いてください。別に、ここでどうこうするつもりはありません。今から姿を変えるだけです」

頭にはてなマークをいっぱい浮かべる私に、ガーミンが加えて説明をしてくれる。

「今から、猫になります。見える人と見えない人がいたら先程みたいになってしまって困るので、どんな人からも見える猫です。だから、俺が人混みの中で姿を変えると、俺が見えていない人には突然猫が現れた、という風になって怪しまれちゃいます。それに、電車内で猫が出た、となればすぐに保護されちゃいますし」

なるほど。
でも、甘いな。

「あんたが猫になるのは構わないけど、あいにくと猫が入れるくらいの大きさの鞄なんて持ち歩いて……って、聞け!」

目の前には既に変化を遂げたがーみん猫。
黒猫か……。なんか死神っぽい。
/ 58ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp