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死神に教わる甘え方。【R-18】

第5章 12月17日【あと7日】


急かされるようにして、外へと出る。
こんなのんびりと散歩したのなんていつぶりだろうか。いや、一度もなかったかもしれない。

「どこか行きたい所とかあるの?」

私の前をずんずん迷いなく歩いて行く死神改め、がーみんに声を掛ける。

「ええ、ずっと行きたかった所があるんです」

そう呟くように言うがーみんの背中が何だか寂しく見えた。きっと、私の気のせいでも幻覚でもないはず。でも、それ以上深入りは出来なかった。しようと思えなかった。

「え、電車に乗るの?」

まず着いたのは駅だった。
がーみんは何事もないかの様に改札をすーっと抜けて行く。私も財布からあの……あれ……あれだ、あれ……お金をチャージして電車に乗るカード……まあ、そのカードで改札を抜ける。

誰にも見えないってどんな感じなんだろ。
電車代も何もかからないってすごく便利じゃない?色んな事し放題じゃない。誰からも見えないっていいなあ。

「ねえ、ママー!あそこに、変な人いるよーっ」

………。
駅のホームで私の隣を指をさしてそうお母さんに訴える少女。隣にいるのはがーみん。いや、違う人だっていう可能性も……

「黒い服とお顔に白いのつけてて、怖いの」

………。

「あんた、見られてるじゃん」

少女はお母さんに連れられて、私たちから離れてくれたからそれ程大きな騒ぎにはならなかったけど、あの少女が見えていたのは事実。完全に見えないっていう訳では無いのか。それなら透明人間も楽じゃないな。

**********

【死神side】

どうしてだ?
どうして、あの小さな子には俺のことが見えた?

まさか、力が弱まってきているから……?

あと一週間、もつかどうか。
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