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死神に教わる甘え方。【R-18】

第5章 12月17日【あと7日】


「椎名様」

「ん?なに?」

少し遅めの朝ご飯を食べ終わり、くつろいでいると死神が私に一つの提案をした。いや、お誘い、だろうか。

「一緒に散歩に行きませんか?」

「っ!」

私も行きたいと思ってた!とはしゃぎそうになるのをぐっと堪えて返事をする。そう。抑えて。

「うんっ!行く!絶対に行く!」

……。
私なりには抑えたつもりだ。だから、そんな目で見てくれるな、死神。

「そんなに行きたかったんですか?散歩、好きなんですね」

「あー……まあね。散歩はかなり好きかな」

素直になれない自分が歯がゆい。

私も死神と行きたいなって思ってたの!とか、可愛らしいセリフをさらっと言えたらいいのに。というか、言えると思っていた。少女漫画とかでは照れながら可愛く言うものだから、自然と言えるものだと思ってたのに。なかなか難しい。

「あ、気になってたんだけど、あんたって他の人からは見えないの?」

「はい。見えませんよ」

なら、大丈夫か。
他の人に見えるんだったら怪しすぎるもんね、その格好。白の仮面に黒のコート。怪しさ要素ありすぎ。というか、怪しさ満点。

「あと、名前なに?」

「へ?」

「え?」

名前なに?って聞いて、へ?って返されたの初めて。

「いやだから、名前なに?」

「あ、あー……名前?今更ですか?」

ぐさっと何か刺さった。
確かに悪いとは思ってる。でも、今まで聞く機会なんてなかったじゃない。

「俺は……特にないです」

「えー。ここまで溜めといて?」

そりゃないわ、と少し大袈裟に額に手をついてみる。

「それじゃあ……がーみん、とか?」

「がーみん?」

何そのネーミングセンス。

「死神のがみをとって、がーみんです」

と、自信満々に言い張る死神。

がーみんって……。

「いいっ!すんごい、いいと思う!」

何そのネーミングセンス。
ネーミングセンスありすぎでしょ。

「今日からがーみんね!」

意外な才能。
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