第1章 突然に現る
「先に病院に電話しましょうか」
うん、きっとそれがいい。
死神とか………頭がおかしいに決まってる。
「いやいやいや!だから、死神なんですってば!グリム・リーパーです!」
ああ、私としたことが。
寝不足のあまり幻覚を……。
「その顔、信じていませんね?ふむ……これはどうでしょう」
ぱちん、と死神とか名乗ってる変な人が指を鳴らすと、その手に黒い霧のようなものがまとわりついた。そして、その霧が膨張して消えていくとそこに現れたのは……
「鎌……」
死神とか名乗ってる変な人よりももうあと30センチほどの長さのある鎌だった。刃の部分はぐるりと内側にカーブしていて、the☆死神って感じ。
「いいえ、違います。これは……鎌death!」
「うん、だから鎌」
「いやだから、鎌death」
「そう言ってるじゃない」
「鎌deathです」
「………」
死神とか名乗ってる変な人が親指をぐっと立てて頷く。仮面で目は見えないものの、口が少し笑っているような気がした。
いや、そんなことよりも……
「時間を無駄にした」
「え?」
「時間を無駄にしたって言ってるの!私は早く寝たいの!死神だかなんだか知らないけど、私には関係ない!」
「いえ、それが関係あるのです」
死神が鎌を消して、私に一歩近づいた。
「あなたはこのままでは早死してしまいます」