第3章 12月15日【あと9日】
部活終わりの放課後。
死神にも不本意ながら手伝ってもらった、演習問題を作るの手伝って用の書類が入ったファイルを手に取る。すると、ファイルの隙間からクリップで止めきれていなかったのか、小さなメモ用紙がひらりと落ちた。
「なにこれ……?」
それは、死神からのメッセージだった。
《頑張ってください》
たったそれだけ。
たったそれだけの一文に、私がどれだけ励まされたか、彼は知る由もない。
「よしっ」
朝と同様、頬をぱちんと叩いて気合を入れる。
「あ、あのっ森下先生っ」
「………何ですか?」
パソコンから目を離さずに一瞬だけ間を置いて森下先生が返事をする。少し怯んだが、こんな所で引き返せない。
「よかったら頼られてもらえますか!?」
あー間違えた。
と思った時にはもう遅かった。
森下先生が私を驚いたように振り返る。
少しいいですか?
からの
少し手伝ってもらいたいのですが……
という声掛けの予定だったのに。
かなり緊張していたようだ。
森下先生が訝しげな眼で私を見る。
今のは違うくて、と言いかけて口に蓋をする。今はどんな言い訳をしようが余計に情けないだけだし、今のこのチャンスを逃せば仲直りが出来ない。そう本能が訴えた。
「森下先生さえ良ければ、数学の演習問題の作成のお手伝い……頼まれてくれませんか?」