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死神に教わる甘え方。【R-18】

第3章 12月15日【あと9日】


こんなにも緊張感のある朝はいつ以来だろうか。

通勤ラッシュより少し早めの電車に乗り、揺られること10分。そして、そこから更に歩いて20分。そこに、私が勤めている青葉中学校がある。

プランは完璧だ。

放課後、部活動が終わってから職員室で森下先生にさりげなく近づき、問題演習の作成を手伝ってもらえないか頼む。

完璧だ。
完璧だけど……断られたら終わりだ。

「あっ……」

プランを確認しながら職員室に向かうため、廊下を歩いていると、目の前から例の人がこちらに歩いてきた。

「おっ、おはようございますっ」

「……おはよーございます」

いつもだったらこちらが嫌になるくらい話しかけてくるくせに。やっぱり、昨日のこと……。

職員室にある自分の席に座り、朝の会議が始まるまでの間に仕事をある程度終わらす。手を動かせて作業は進めるも、頭の中は情けない事に弱音ばかり。しっかりしなきゃと叩いた頬の痛みは空気の冷たさと合わさって、更にひりひりと感じた。

**********

【死神side】

弱音を吐く彼女を初めて見た。
本当に初めて。

彼女を悩ませた原因が他の男だということが面白くなかったが、結果的には俺に甘えてくれたのだから感謝するべきなのかもしれない。

もしかしたら、"ここ"は今までと違うのかもしれない。

「"今回こそ"……うまくいきますように」


運命の日まであと9日。
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