第2章 12月14日【あと10日】
【死神side】
「まずは洗濯物か」
脱ぎ散らかされた服を浮かせて、洗濯機のある洗面所に持っていく。ここからは服の仕分けをしなければならないから、能力を使わずに自分の手で仕事をする。
「ぐぉっ!?」
想定外だった。
そうだ。これがあるんだ。
「ブ、ブラ、ジャー……!」
これをあの人は昨日つけて───
「ぶふぉっ!」
思春期盛りの男子高校生かよ。
分かってます。
でも、本当にもう………
「パ、パパパ、パンツぅっ!?」
やばい。
死ぬぅ…………。
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「っ!?」
今すごく……寒気が………。
「せんせー、おはよー」
腕をさすりながら挨拶をしてきた生徒に挨拶を返す。そりゃあ、この寒空の下立って生徒に挨拶をしていたら寒気くらいするか。
私が働いている中学校のすぐ隣に喫茶店がある。今日もいつものようにその店の前で挨拶をしている。いつも通り。そう、いつも通りなんだ。でも何故だろうか。すごく、違和感。
「先生?」
私の前を通り過ぎようとした生徒が立ち止まって私の顔を覗き込む。
「ああ、ううん。何でもないよ。おはよう」
何に対しての違和感なのか。
そう問われると分からない。
でも何かが違うのだ。
いつもの同じ風景。同じ時刻。
なのに、何かが足りない。
確かに今までと同じなんだ。でも、私の中の何かが違うと訴える。
もどかしいこの感じは一体何なのだろうか。