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死神に教わる甘え方。【R-18】

第2章 12月14日【あと10日】


いつものように腕時計を身につけ、カバンを肩にかける。

そして黒いパンプスを履く。
パンプスは私の武器だ。背が低い私が男の教師のような威厳があるとは思わない。だからこそ、パンプスを履いて、ひとりの女として戦うのだ。これは私を守るための防具だ。

「椎名様。いってらっしゃい」

「………」

いってらっしゃい。
そう見送られるのはいつぶりだろうか。

悪くない。
むしろ、なんか心が温かくなる。

「……いってきます」

**********

【死神side】

いってきます。
彼女がそう消えるような小さな声で呟いた。

それを見て、俺は思わず固まった。

がちゃん、と音を立ててドアが閉まった瞬間に俺はその場にしゃがみこむ。

「はぁあーーーー!」

反則だ。
あれは反則。

「可愛い……」

少しはずかしそうに微笑んだ姿がとても愛おしかった。俺が死神なんかじゃなかったら、この腕で抱きしめたいくらいに。

今日は12月14日。
運命の日まであと10日。









今度こそ────。
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