第5章 発症
「次は、グリフィンドールと魔法薬学合同授業だわ…」
皇は教科書を忘れて、女子寮への階段を駆け上った。
少し、ぐらりと視界が揺らぐ。
「!?」
頭がボーっとする。
いけない。
遅刻しちゃう。
スリザリンの寮と魔法薬学の教室が近いのが、不幸中の幸いだ。
教室に入った。
遅刻はしなかった。
いつもの席に座る。
隣は通路を挟んでチェルシーが、頬杖をついていた。
まだ先生が現れる気配はない。
皇は走り書きでチェルシーに手紙を書いた。
親愛なる チェルシーへ
今日のお昼休みに、母親から手紙が届いたの。
少し注意が必要みたいだけど、きっとチェルシーは私の『真の友』なのよ。
だから、これからも宜しくね。
あなたの友達 皇より
皇はチェルシーに手紙を回した。
チェルシーは手紙を読むと、皇にとびきりの笑顔を向ける。
話しかけようとしたら、運悪く先生が荒々しく扉を開けた。
皇は開きかけた口を閉ざして、言葉を呑み込んだ。