第19章 お引っ越し
その日の夜には、社長と縁下さんが家にやってきて、今後の事を話し合う。
私は、とにかくこの家から出られれば良いくらいに思っていたから、口は挟まなかった。
その所為で、かなり理不尽な選択を迫られる事になる。
「つかさ、安全さ重視だべ?だったら、誰かと同居すんのが良くね?」
「おぉ!そうだな!りこ、俺ん家に来い!」
「何を言ってるんですか、木兎さん。貴方、狼になるでしょう?俺の方が安全ですよ、りこさん。」
「いえ、うちのタレントですから俺が面倒見ます。」
「や、力ちゃんと噂になったら大熊りこの立場がまた悪くなんべ?
そういう被害があったから、社長宅に居候、が一番言い訳出来るだろ。」
こんな言い合いが、目の前で繰り広げられた後に、誰かを選べと迫られたのだ。
呼んだら、すぐに来られるくらい近所に住むならまだしも、誰を選んでも同居は決定のようだ。
安全さを重視するなら、男と同居する事自体がアウトだと思う。
選びたくない、と首を振っても拒否権は無く…。
「この家、出なきゃいけないの分かってますよね?」
「あんなの、ポストに入れられたんだから、次は自宅まで来るかも知れねぇんだぞ?」
引っ越しを考える元凶となった、さっきの事を持ち出された。