第19章 お引っ越し
それから、30分もしない内に京治くんと光太郎が現れる。
何があったか話をしたら、褒めてくれるどころか…。
「こういう時は、部屋から出る前に連絡して下さい。アンタ、家バレしてるとか考えて無かったんですか?」
説教が始まった。
「いや、だって。男の人だったし…。」
「まさか、敵は女しかいないって思ってました?タレントとして、テレビに顔が出ている限り性別問わずにファンはつきます。
下手をすれば、それがストーカー化して危ない目に遭う可能性も…。」
言い訳をしても、聞き入れては貰えずに続く説教。
考えてみれば、社長が黒尾さんをボディーガードにした理由はストーカー対策だ。
最近のトラブルは、主に相手が女性だったから忘れていた。
「赤葦ー。セッキョーは後でいーだろ?それより、これ開けてみよーぜ?」
くどくどと喋っている京治くんを止めて、うちのポストを開ける光太郎。
そして、中を確認しただろう瞬間に、音が立つくらい荒く閉めた。
「赤葦!りこ、こっち見させんな!…んで、ティッシュ、ティッシュ!」
叫ぶような、大きな声に反応した京治くんに抱き締められる。
頭を胸元に押さえ付けられて、周りは見えなくなった。