第19章 お引っ越し
私に敵が多い自覚はある。
それは、女性人気の高いモデルだとかアイドルだとかにお気に入り認定されているから。
だけど、自宅は未だにバレていないし。
異物が入ったファンレターなんかは、事務所で処理をしてくれるし。
外に出る時は、誰かがマンションの前まで送り迎えをしてくれるから、安心していた。
一応の警戒心はちゃんと持とうと思っているから、用事がなければ外に出ない事を徹底して。
目的もなく、フラフラと外を出歩くのは好きではなかったから、オフである今日も1日家に籠ってようと思っていた。
朝、起きて家で出来るトレーニングをして。
ごはんを食べて、掃除だとか普段は疎かになっていた家事をして。
やる事が一杯あるから、時間が過ぎるのは早い。
溜まっていた洗濯物を片付け、やっと一息つこうとしたお昼過ぎ。
一本の、電話が掛かってきた。
相手は、マンションの管理会社の人で。
共用スペースにある集合ポストから、異臭がするという事だった。
そんなのを調べたりするのは管理会社の仕事、とか思ったけど。
どうやら調査済みだったみたいで。
私のポストから、液体らしきものが漏れているらしい。
その人が集合ポストの所に居るらしいし、マンションの中だから大丈夫だと部屋を出た。