第18章 3回目
一直線に私だけに向かってきたバイク、その後の舌打ち。
私自身が、狙われただろうって分かってたのに。
自意識過剰だとか言われるのが怖くて、ただの事故だとしていた。
現場に居た岩泉さんと、そのすぐ後に会った黒尾さんくらいしか、その事実を伝えなかった私が全面的に悪い。
「ごめん。次からは何かあったら、光太郎と京治くんにも相談するから。」
反省を示して、深く頭を下げる。
少し間があって、頭の上に何かが乗る感触があった。
それが何かを確かめようと顔を上げる。
「そうして下さい。木兎さんもそうですけど…俺も負けず嫌いなんで。」
頭に乗っていたのは、京治くんの手で。
やっぱり、まだちょっと怒っているみたいで、頭をギリギリと締め付けられた。
「痛い痛いっ!マジで痛いから!」
かなり痛くて、離して貰おうと手首を掴んだけど、外れない。
「次からは、一番に俺達に相談して下さる約束をして頂けるなら離しますよ。」
何でも一番じゃなきゃ嫌って子どもだな。
負けず嫌いって、確かにそういう意味だけどさ。
それを口に出したら、多分頭蓋骨が砕かれる。
「分かった!一番に相談するから!離して!」
了承を叫ぶように声として出すと、手が離れていった。