第18章 3回目
部屋の中、正座をさせられて上から降ってくる説教に耐えている。
こんな事をしていたら、他の人に挨拶に行く時間が無くなってしまいそうだと思っていた。
でも、それを言い出そうものなら、更に怒られてしまいそうだから、何でここまで怒られているのか考える事にする。
まず、バイクに轢かれそうになった件。
事務所に報告してた筈なんだけど、狙われたかもと言わなかったのが悪いんだろうな。
警戒心の薄さを物語っているようなものだから。
次からは、可能性程度であっても、ちゃんと言うようにしよう。
次に、及川徹が事故の事を知らなかった件。
こっちについては、岩泉さんが話していると思い込んでいたんだから仕方がない。
それでは、対処のしようがない。
こうやって、考え事をしている内に説教が終わったようで、立つように言われる。
長時間、と言っても十数分だけど正座に慣れていないから、足が痺れていた。
当たり前のようにフラついて、及川徹の胸に倒れ込む。
受け止めてくれたのは有り難いけど、そのまま抱き締められたのは意味不明な行動で。
「あのモデルちゃんの件は、俺が話つけとくから安心して良いよ。」
混乱している内に、耳元で囁くような声が聞こえて離された。