第17章 お食事会
私が、この部屋に案内されてから数十分後…。
襖が開いて、予定通りの2人が顔を出した。
「やっほー!シンデレラちゃん。」
「…よぅ。待たせたみてぇで悪いな。」
「いえ、元から私が先に入るお約束していたので…。」
「岩ちゃんにだけ返事するとかヒドくない?」
語尾に、音符だか星だかのマークが付きそうな、明るい声音の及川徹と、相変わらず堅い感じの岩泉さん。
知ってはいたけど、実際に見ても、やっぱりこの2人はアンバランスな気がして、一緒にいるのが不思議なくらいだ。
立ったままの2人に着席を促した所で、タイミングよく仲居さんが入ってきて。
「シンデレラちゃんは、日本酒大丈夫?あ、岩ちゃんも飲めるよね?」
及川徹が慣れた様子で確認をしながら、仲居さんと話をしていた。
コースなんかも勝手に頼まれていたけど、奢ってくれるというのに文句は付けられず。
聞かれた事に頷きで答えたりしながら、その様子を見守る。
その所作がとてもスマートに見えて、ついじっと眺めてしまっていた。