第3章 退職
契約が纏まってから、力ちゃん…縁下さんから色々と説明を受けた。
事務所が面倒を見るのは1年だけ。
もし、今の仕事を辞めたりしても、その後の責任は持てない。
仕事をしているなら、日程は調整するから、そちら優先でも構わない…という事だ。
1年シンデレラは、とことん社長のお遊びだった。
現在の私は、普通の会社員である。
その仕事を続けるか、否か。
私の中で答えは、すぐに決まった。
何しろ、1年シンデレラに応募した動機である、私をフったのは、同じ会社の男だから。
あっちは営業マンで、私はその補佐をしていた。
気まずくても、会話はしなきゃならない状態で、苦しかったから、寧ろ丁度いい。
会社を辞めて、全力で。
社長のお遊びに付き合ってやろうじゃないか。
その後の事を、今から考えたって仕方がない。
私が変わる為の1年。
少しも無駄にしたくない。
調べながら書いた退職届け。
忘れないように通勤に使っていた鞄に押し込んだ。