第15章 逃げる企画
撮影終盤、残り時間は20分程。
生き残っているのは、及川徹と…。
「りこ!俺が賞金取ったらご飯行こう!」
何故か、さっきから檻の前で私に話し掛けている、この男。
灰羽リエーフである。
もう、生き残った人間より鬼が多いのに余裕のようで、その能天気な感じが羨ましい。
「難しいと思うよ?」
「俺は、絶対に取れる男だ。」
状況からしたら、正論を言ったつもりなのに、自信満々に返される。
その自信、何処から沸くんでしょうか。
「…逃げ切るつもりなら、この場にはいない方が良いと思うんだけどな。」
「さっき、鬼と走ったけど俺の方が速かったから大丈夫だって。」
注意してやっても、聞く気はないみたいだ。
そんな、やり取りをしていると企画中のイベントを知らせるアラームが鳴った。
その、イベントの内容は…。
【復活ゲーム】
平たく言うと、生き残った2人が条件を満たせば、檻の中の人間を外に出す事が出来る。
条件は、この企画に使用している街の中にある鍵を持ってくる事らしい。
「りこ、俺が助けてやるぞ。」
それを知った途端に、格好いい台詞を残して、リエーフが走り去っていった。