第15章 逃げる企画
檻の中にはモニターがある。
復活の可能性が出てきた事で、皆して食い入るように画面を見ていた。
2人を交互に映していた筈の画面が、及川徹だけになる。
これは、鍵に近付いている証拠。
そして、難無く鍵を手に入れて、この檻に向かおうとしている場面で、また切り替わる画面。
勿論、今度はリエーフが映されていて。
こちらも、どうやら鍵を手に入れたようだ。
ブログにあんな事を書いていたくらいだから、及川徹も復活に私を選ぶ可能性がある。
それは、何としてでも避けたい。
これ以上、女の子にライバル視されたくはないから。
そう思っていても、上手くはいかず。
先に檻まで辿り着いたのは及川徹で。
「誰を復活って?シンデレラちゃんに決まってるでしょっ!」
当たり前に私を指名して、檻の外に出した。
後ろから刺さるような視線を感じて辛い。
「ほらっ!逃げるよ!」
及川徹が、周りの目を気にしてしまって、動けなかった私の手を取り走ろうとした時…。
「あーっ!ズリィっすよ!俺だってりこと手ぇ繋ぎたいです!」
後ろから聞こえる大きな叫び声と共に、私達の間にリエーフが走り込んできて、私の事を軽々と抱えて走り出した。
檻の中は完全にスルー状態で、飛ばされる野次が遠くなっていく。
そして、何故か及川徹も着いてきていて、同じ方向に逃げていた為に…。
別方向から現れた鬼に囲まれ、同時に3人が捕まる企画史上初の、ゲームオーバーを迎えた。