第15章 逃げる企画
翌日。
昨日、知ったばかりの仕事に向かう。
怖い目に遭ったからって、受けている仕事から逃げるのは、1年シンデレラの、事務所の、信用に関わるから、辞められない。
昨日の件は社長と縁下さんに話して、部屋まで迎えに来て貰った。
勿論、黒尾さんにも先に連絡してあるから、帰りは彼に送って貰う予定だ。
流石に、撮影中に何かあるとは思えないから、行き帰りだけ1人にならないようにすれば大丈夫な筈。
いつまでも、怖がったり、落ち込んだりしていられないから、楽観的に考えるようにした。
企画の内容の説明、打ち合わせが終わり。
撮影がスタートする。
この企画は、大規模な鬼ごっこ。
走り回るのは得意じゃないけど、トレーニングで光太郎に鍛えられたお陰で、スタミナには自信がある。
長く生き残れば賞金が増えるのもあって、逃げ切りたいな。
だけど、現実はそう甘くなかった。
スタート直後、出演者が一斉に走り出した時に、誰かに背中を押されて転ぶ。
走り去る、他の出演者を目で追うように見上げた時、私をバカにしたように笑って見ていた女性がいた。
まさか、わざと?
そんな事を考えていると、肩を叩かれて。
開始から僅か数秒で、一番最初に捕まっていた。