第14章 アイドルの影響力
渡すように、手元に置かれたマウス。
そして、画面を指差していた。
「内容、読んでみて。」
言われた通り、マウスでスライド操作して、日記を読み進める。
最初の方は、楽しみだの何だの、普通の日記だったけど。
途中に、何故か私の名前が出てきた。
【今年のシンデレラちゃんも出演予定らしいんだよね。
護ってあげたら、俺が王子様(笑)?】
私が関わりそうなのは、この文章だけ。
これが、事件?
いや、その前に…。
「この、逃げる企画に出演って聞いてませんけど?」
こっちの疑問の解決が先だった。
「俺、言ってなかった?」
「俺が知る限り、社長が大熊さんに連絡した所は見てませんね。」
「収録、いつだっけ?」
「明日です。」
ふざけている。
もし、このブログの件が無かったら、明日いきなり呼び出されていた可能性が大きい。
でも、何も聞かされずにインタビューとか、これまでに色々やられているから、すでにこの展開には慣れている。
「別に日記でこんな事を書かれたくらいで、何かあるとは思いませんよ。
明日、撮影がある事は了解しました。失礼します。」
「話、最後まで聞いてけよ。」
「今日はオフでーす。プライベートな時間、潰されたくありませーん。」
慣れてはいても、苛々はするものだから、引き止められても聞かずに出ていった。
「顔が売れて調子に乗ってきてますね。」
「自信があるのは、イイコトだべ?」
「大熊さんに何かあったら、どうするんですか?」
私が出た後、縁下さんが見た画面。
ブログに付けられたコメント。
【地味デレラ、許すまじ】
と、書かれていた事を私は知らなかった。