第12章 2回目の撮影
中から、バタバタと大きな足音がして、開かれる扉。
出てきたのは、勿論。
「りこ!」
「光太郎、そんな勢いよく開けたら危ないよ。」
この男、木兎光太郎である。
「そうですよ。もし、りこさんの顔にでも当てたらどうするんですか?」
光太郎の後ろから顔を出したのは呆れた顔をした京治くんだ。
「だってよー。撮影前に会えると思ってたのに、中々来ねーから待ちくたびれたんだもん。」
「だって、じゃ、ありません。しかも、だもん、って子どもですか、アンタは。」
「俺は立派な大人だ!」
「そういう言動が子どものようだと言っているんですよ。」
こっちの2人のやり取りも、コントのようだ。
このやり取りを見守りたいと思ったけど、生憎と時間がないらしい。
縁下さんが、時計を気にしている。
「…光太郎、京治くん。時間がないから部屋の前でごめんね。今日は、宜しくお願いします。」
出来る限り素早く済ませようと、頭を下げた。
「おぅ!宜しくな!」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします。」
この2人は、会いたければいつでも会える。
だから、本当に挨拶だけで済ませて、その場から離れた。