第12章 2回目の撮影
それからは、次に挨拶に行かなきゃいけない事もあり、縁下さんに促されてすぐに部屋を出た。
リエーフは、私と話したがって引き止めにかかってきたけど、またもや夜久さんに止められ。
毎回の事ながら、禁句を吐いてシバかれていた。
学習しないな、なんて思うけど、そこが可愛く思えるのがリエーフの魅力なんだろうな。
人の嫌な部分を口に出しちゃう所もあるけど、相手を傷付けようとして言っていないのは分かる。
多分、リエーフは素直過ぎるんだ。
お腹の中に、黒い所なんて欠片もない。
こういうのを、愛すべきバカ、とでも言うのかな。
さっきまでの部屋でのやり取りを思い出して、また小さく笑う。
隣を歩く縁下さんは、なんで笑ったのか分からないようで首を傾げていた。
「リエーフと夜久さんのやり取りって面白いなって、思いまして。」
「…確かに。」
理由を口にすると、理解出来たみたいで頷いてくれた。
少しの雑談をしながら、辿り着いた部屋の前。
本日の番組に出演する、他のゲスト。
もう1人の、愛すべきバカ、がいる部屋だ。
元々、知り合いの上にトレーニングで、ほぼ毎日のように顔を合わせているから緊張もせず、気軽に扉をノックした。