第12章 2回目の撮影
体の向きを変えるように力を入れられ、従うように半回転する。
「コレ、だーれだ?」
今、私の目の前にあるのは鏡。
肩を抱いたまま、その中に映る私をリエーフが指差した。
見慣れている自分ではない。
だけど、言われたみたいに可愛らしくは見えない。
プロのメイクで、誤魔化された少しだけ見れる程度の私。
「私だよ。でも、可愛くは見えないかな。」
「りこはそう思っても、俺達はカワイーと思ったんだって!自信持てって、な?」
正直に答えても否定される。
これ以上、否定し合うのを続けていたら、可愛くない、じゃなくて、可愛いげがない、になってしまう。
「…うん。有難う。」
皆の、ここにいる3人の感覚を受け入れようと頷いた。
「そうやって、自信を持ってくれると嬉しいな。1年シンデレラは、ウチの看板だからね。」
縁下さんが、優しく笑っている。
確かに、見た目がいくら変わろうと、自信がなくて下を向いていたら駄目だ。
どう頑張ったって、ネガティブなキャラクターをウリに出来る程の見た目には届かないんだから、せめて胸を張って。
堂々と、私がシンデレラだ、と言う顔をしないと番組の名に傷が付く。
見た目をとにかく優先して変えてきたけど、これからは中身も。
やる事は、まだまだ一杯あるのだと気付いた。