第12章 2回目の撮影
目の前で始まったのは、これまた前回と同じく…。
「夜久さん!モデルに傷付けないで下さいってば!」
「だから、顔はやってない。」
「顔には、足が届かないだけじゃ…。」
「リエーフ!」
「いてっ!蹴らないで下さい!俺、ホントの事しか言ってないじゃないっすか!」
「お前…本当に度胸あんな。」
2人の、まるでコントみたいなやり取り。
それを見ていると笑えてくる。
さっきまで、あんなに緊張していたのに、もう平気そうだ。
私が笑い始めると、部屋の中にいた3人が同時に私を見て。
「社長、見る目あったんだな…。」
「このレベルだったら、ウチの事務所で拾っても…。」
「りこ、笑うと可愛いな!」
口々に感想を言われた。
いや、プロに何から何までして貰ったら、大体は見れるレベルになると思う。
現に、普段通りのメイクで外を歩いても、そんなに人に見られたりしない。
オーラのある、有名人とはやっぱり違う。
「お世辞でも、嬉しいです。有難うございます。」
完全に否定すると空気が悪くなるだろうから、お礼を口にする。
「お世辞じゃないよ。大熊さん、綺麗と言うよりは可愛らしいタイプだ。」
「謙遜すんなよ。磨けば光る、ってヤツだろ?シンデレラ期間終わって、この世界に残る気があんなら、ウチの事務所に…。」
「夜久さん、今はまだウチのタレントなので。スカウトは控えて下さい。」
今度は、縁下さんと夜久さんが言い合いを始める。
そんな2人を放って私の隣に立ったリエーフが肩に腕を回してきた。