第12章 2回目の撮影
リエーフが、私を見ている。
無視をした事を怒っている感じはしない。
それどころか、純粋な曇りのない眼をしているから、反応に困って更に体が固まった。
「りこ!久し振りだなー!元気だったか?」
私の状態なんか、お構い無しにリエーフは立ち上がると、飛び付いてくる。
何で無視した事を怒ってないの?
とか。
噂が一度でも立ったんだから、こういうのは止めて欲しい。
とか。
色々と考えてしまって、何も言葉が返せないでいると…。
「リエーフ、ヤメロ。人のトコのタレント潰すな。」
前と同じく、リエーフの背後から夜久さんの声が聞こえて。
「潰してないっスよー。…いっ!引っ張んないで!首絞まってますー!」
強制的にリエーフが離される。
夜久さんがリエーフの服の背中側を掴んで引っ張ったようだ。
2人に身長差があるから、リエーフの背中が完全に海老反り状態になっている。
服から手を離されて、腰の辺りを擦っているリエーフが夜久さんを見下ろした。
「夜久さんの身長で、そんな事やられたら背中おかしくなっちゃうじゃないですか!」
文句の中に、禁句を口にしたリエーフ。
ここから先は、お察しの通りとでも言うべきか…。
鈍い音が部屋の中に響いた。