第12章 2回目の撮影
嫌だと思っていても、その日はやってくる。
迎えに来た縁下さんの運転する車で向かったテレビ局。
前回とは違い、スタイリストさんやらが付き、衣装やメイク、全てがプロ仕様の扱いである。
準備が終わったら、共演者への挨拶に縁下さんと回る事になっている。
あの見た目でのお披露目だったから、私がやった仕事はリエーフとの雑誌撮影だけ。
他にも、仕事の一環であるトレーニング等々に関わった光太郎達も来ているようだけど、業界的に一番最初に挨拶に行かなきゃならないのは、リエーフだ。
重い溜め息を吐きながら、リエーフのいる楽屋の扉をノックする。
「…はい。」
返事と共に開かれた扉。
中から出てきたのはリエーフのマネージャー、夜久さんだった。
「おはよう御座います。本日は撮影で、うちの大熊がお世話になりますので、ご挨拶に伺いました。」
頭を下げる縁下さんを見て、自分も慌てて頭を下げる。
夜久さんの方も、お辞儀を返してくれた。
「こちらこそ、本日はお世話になります。リエーフは中にいますので、どうぞ。」
開いた扉を背で支え、室内を手で示す夜久さんに従って中に入る。
リエーフが私に気付いてこちらを見た瞬間、緊張が体中を巡って動けなくなった。